代表コラム
「アイスショーと私」

  • vol.25
    Fantasy on Ice①
  • UPdate

2009年に初めて米国のスタッフと組んで“アイス・ジュエリー”を成功させた事で、次は演出的によりオリジナリティーのあるアイスショーにしたいと考えていました。それは生の音楽とのコラボレーションだと思い、それもそれまでのピアノやバイオリンなどの楽器ではなく、ボーカリストとコラボさせてみたい。

2010年はバンクーバー五輪が開催され、フィギュアスケートも大変な盛り上がりをみせ、2007年に“チャンピオンズ・オン・アイス”を開催した新潟のプロモーターとTV局と組んで、再び“ファンタジー・オン・アイス”のタイトルで7月に朱鷺メッセでの開催が決定しました。

私としてはこのタイトルを復活させる以上、今までとちがう演出や見せ場をつくらなければならないと、ボーカリストの交渉が始まりました。音楽関係は今までの仕事で関わる事は少なく、担当マネージャーに行きついても、単にショーの中で歌うだけではなくスケーター全員によるオープニングやフィナーレのコラボや個々のスケーターとのコラボレーションは、説明する事が初めてで私自身も戸惑いを感じながらの交渉となりました。

“ゴスペラーズ”

復活の新生“ファンタジー・オン・アイス”としてはこの上ないアーティストの出演が決定しましたが、1つリクエストがありました。それは実は私も前に聞いた事がありましたが、ゴスペラーズと大学で同級生であるプロスケーターの八木沼純子さんと共演する事を企画した事があり、それをかなえる事が出来ず、是非この“ファンタジー・オン・アイス”で実現したいとの事でした。もちろん快諾し、ご本人も“プリンス・アイスワールド”以外のアイスショーで初めての出演となりました。

数か月後待ちに待った開催前のリハーサルとなり、オープニング曲は「ひとり」、フィナーレ曲は「愛の歌」を選曲し振り付師によるスケーター全員の振り付も無事終了しました。

いよいよゴスペラーズご本人達が登場して生歌とスケーターとのコラボレーションが始まります。そして個人のコラボレーションは、八木沼さんが自分で選曲された曲「1,2,3for5」で、私は知りませんでしたがアップテンポでとても良い曲でした。やはり親交があるので自分に合う曲はご存知だなと思いました。

まず、ジョニー・ウィア「I LOVE YOU,BABY」、ナタリー・ペシャラ&ファビアン・ブルザ「誓い」、エフゲニー・プルシェンコ「星屑の街」とコラボのリハーサルが進み、八木沼さん以外は海外のスケーターとのコラボであり、日本のスケーターとしてのコラボは八木沼さんだけで、リハーサルが始まりました。八木沼さんは自らリクエストした事もあるのか、リハーサルとは言えジャンプも跳んで本番同様に演技してくれていました。それから比べると他のスケーターは流している感じで淡々と自分のパートを終えていました。

リハーサル後、リーダーの村上さんと話しました。

「みなさん世界のトップスケーターですよね?」

どのスケーターもリハーサルではジャンプは跳ばず、跳んでもタイミングだけ確認している感じで八木沼さんの本番モードな演技に比べると、やる気がない様に見えたのかもしれません。

初日が幕をあけ、オープニングでゴスペラーズ登場。私にとっては新たなエンターテイメントとして“ファンタジー・オン・アイス”の復活が出来たと思いました。リーダーの村上さんの挨拶があり、八木沼さんとの関わりやコラボレーションを楽しみにしているとの話がありました。

無事初日が終わり、2日目の村上さんの観客への挨拶は初日とは違いました。

「世界のトップスケーターとコラボレーション出来て光栄です!」

リハーサルで流していたスケーターが本番で初めて本気モードの滑りを見せ、歌っているゴスペラーズの皆さんにもその人と人とのエネルギーが伝わって、そのエネルギーとエネルギーのぶつかり合いが新たな異空間を生んだのだと、私も初めて気がつきました。これがボーカルとのコラボレーションの良さだと。

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