代表コラム
「アイスショーと私」

  • vol.02
    フィリップ・キャンデロロ<1>

1992年からNHK杯に5回連続出場し、’92年と’93年は連続優勝!この年以降、別名“デロロ”“ロロ様”とも言われ、彼の出場が決まると花束拾いの人数増加、警備の強化となり、仕事も増え大変だ! と言いながらも、運営スタッフは彼の出場を楽しみにしているようでもありました。コスチューム、ヘ アスタイルなど、その役になり切り、ストーリー性ある演技とその表現力は私にとってトービル&ディ ーン以来の衝撃でした。また、タイツのようにピッタリしたコスチュームでないため、演技中ははため いたズボンのように見えるのも印象的なプログラムで、まさにマフィアのボス“ゴッドファーザー”で した。

1994年リレハンメルオリンピックで銅メダル獲得。同年3月、千葉県幕張で9年振りの世界選手権が 開催され、オリンピック銅メダリストでありながら、金・銀メダリストをも凌ぐ大会一の人気者となっ ていました。彼の演技が終了すると、花束が確実にリンクの中に届くよう、ファンが自席を立っていち ばん前の席まで階段を一斉に駆け降りる音が震動となり、会場全体に地響きが起きます。一回の演技で 花束やプレゼントが大きなダンボール4、5箱一杯でした。

エキシビションでは、ロッキーのテーマで観客席から登場(勿論、警備員増員です)、競技では禁止 されている見事なバックフリップ。それはそれはカッコよくファンの女性が虜になるのもわかります。 更に、客席に入って観客に抱きついたり、上半身裸になったりと、その演出を考えた彼の演技は、彼が 常に“魅せる”ことを意識していると、改めて再認識しました。

さて、こうして私はその後も彼の演技を注目し続けるわけですが、この時点ではまだ私が勝手に彼を 知っているだけで、私はスケート連盟の役員でもないので、彼と話す機会も話す理由もありません。た だ、毎年NHK杯で彼の出場を楽しみにしている一ファンに過ぎませんでした。

NHK杯最後の出場は’96年大阪のなみはやドームで、落成記念として開催されました。大会は盛り 上がりましたが、彼は7位に終わり、衰えたようにも見えたので、これで引退してしまうのかと淋しい 気持ちになりました。(つづく)

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